名称:
公益財団法人 日本極地研究振興会
所在地:
〒190-8518 東京都立川市緑町10-3 国立極地研究所 極地観測棟 K307
設立:
昭和39年12月1日に財団法人として発足
移行:
平成25年4月1日に公益財団法人に移行
設立目的:
当財団は、地球上で最も未知な地域として残されている「極地」と呼ばれる南極地域及び北極地域の研究、教育活動を助成し、あわせてその研究成果等の普及・啓発を行い、学術文化の向上発展に寄与することを設立目的とする。
事業:
当財団はその設立目的を達成するため、次の事業を実施する。
(1) 極地研究に従事する研究者、研究機関等への助成
(2) 極地研究に関する国際交流及び現地調査等への助成
(3) 極地の自然、観測情報等を活用する教育者等への助成
(4) 極地観測事業その他極地研究教育成果等の普及
(5) 国立極地研究所「南極・北極科学館」の売店(ミュージアム・ショップ)の管理運営
(6) 極地観測事業を通じて開発取得した諸作権及びノウハウの活用による資料貸出、技術指導
(7) その他、目的を達成するために必要な事業
当法人は1964年(昭和39年)12月に、「極地研究の助成と研究成果の普及を行い学術文化の向上に寄与すること」を目的とする財団法人として認可され、その直後に試験研究法人に認定されました。当法人が発足した1964年は、国家事業として1956年に開始された南極地域観測事業が一時中断されていた時期で、昭和基地は1962年2月から1965年12月まで閉鎖されました。これに先立つ1961年10月、当法人の実質的創設者である地球化学者鳥居鉄也は、ニュージーランドで開催された第5回南極研究科学委員会(SCAR)会合に出席し、その際行われた南極エクスカーションで、ロス海西岸に広がる南極最大の露岩地域ドライバレーを視察しました。
この特異な景観に心を打たれた鳥居は、日本人チームによる調査研究を決意し、米国極地局の支援を得て、1963/64年に第1回調査を実施しました。これを機に、南極国際協同研究への支援、南極観測事業再開やその後の研究を支援する団体として、当法人が1964年に設立されました。ドライバレー地域の調査は、国際的に高い評価を得た1971/75年の日米ニュージーランドによるドライバレ―掘削計画(DVDP)などを経て、1986/87年まで続けられました。
その後、チリやオーストラリアなどの外国の南極観測隊との協同研究プロジェクトの支援、国内外の国際研究集会への研究助成支援、極地研究成果の普及、極地野外活動のための装備品の開発など、さまざまな活動を行なってきました。公益法人制度の改革に伴って2008年12月1日から特殊財団法人となり、新制度による公益財団法人としての要件を満たす準備を始めました。この準備期間中に、砕氷船2代目しらせの竣工(2009年5月)、国立極地研究所の東京都立川市への移転(2009年5月)、国立極地研究所付属南極・北極科学館の開設(2010年5月)という出来事があり、極地研究を発展させる新たな体制が整えられました。
さらに、極地を活用した青少年教育を発展させるために国立極地研究所から、①小中高教員を南極観測隊に同行させて行う南極授業テレビ中継事業、②南極・北極科学館の管理運営事業への協力依頼がありました。そこで公益財団法人への移行に際しては、事業内容を従来の極地研究分野への助成だけではなく、極地の自然観測情報等を活用する教育者への助成、研究及び教育成果の普及、ミュージアムショップの運営まで拡大する構想をまとめ、申請を行いました。その結果、2013年3月19日に内閣総理大臣の認定書の交付を受け、同年4月1日に公益財団法人としての新たな活動を開始しました。
現在の事業は、公益目的事業と収益事業からなります。公益目的事業は、「極地科学の分野における学術文化の向上発展に寄与するため、研究、教育活動の助成と研究教育成果の普及を図る事業」として以下の3事業を実施しています。
・研究助成(応募型):大学院学生を含む若手研究者の支援が中心
・教育助成(応募型):南極から授業を実施する教員の支援が中心
・研究教育の普及啓発活動:書籍・地図の出版、講演会・教室の開催等
収益事業としては、国立極地研究所の南極・北極科学館のミュージアムショップの管理運営と解説員派遣業務、極地観測事業を通じて開発取得した資料やノウハウの提供・技術指導を行っています。
現在、最も力を入れているのは「普及啓発活動」でさまざまな新しい取り組みを始めています。会員向け「極地」(年2回発行)は、2016年9月発行の第103号から一般向け「南極と北極の総合誌」(オールカラー印刷)として全面的にリニューアルしました。
当財団は、1973年の国立極地研究所の設立以来、密接な連携をとりながら南極地域観測事業の支援をはじめ、極地での研究・教育活動の推進、研究成果等の普及・啓発を行ってきました。2009年に出発した第51次南極地域観測隊からは、極地研究所と当財団とが主催して「教員南極派遣プログラム」を開始し、既に20名以上の小中高校の教員の方々が昭和基地から南極授業を実施しています。また、2010年に開館した「南極・北極科学館」のミュージアムショップの管理運営を行い、南極カレンダーや極地に関する書籍や地図・絵葉書等の販売を行っています。